尾瀬にはふたつの百名山があります。そのひとつが尾瀬の福島側にある「燧ヶ岳」です。
前回は東京から燧ヶ岳の登山口である「御池」と「沼山峠」までのアクセスについてご紹介しましたが。今回は燧ヶ岳登山についてご紹介します。
東京から「御池」と「沼山峠」までのアクセスについてはこちらから♫
至仏山の記事はこちらから♫
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燧ヶ岳ってどんな山?尾瀬のどこにある?
燧ヶ岳は、とても広い尾瀬の中でも福島側にあります。地方でいうと福島県の会津地方に属しています。
尾瀬はとても広いのでルートについてはいくつもの選択肢があります。日帰りで燧ヶ岳だけを登るのか、宿泊して尾瀬を一周するのか、至仏山も一緒に登るのかなどによってルートが変わります。
尾瀬は登山者だけではなく、尾瀬ヶ原や尾瀬沼のハイキングのみをする観光客も多く、季節によってはとても混雑する観光地でもあります。
★燧ヶ岳(ひうちがたけ)
【標高】2,356m(柴安嵓)
【レベル】中級
【所要時間】8時間
【標高差】1120m(登り)/923m(下り) ※YAMAP記録から
【危険箇所】残雪期は滑落に注意!6月下旬でも残雪があり、チェーンスパイクでは危険な場所あり。ストック必須!
【ヤマスタ】あり
【今回のコース】御池〜燧ヶ岳〜沼山峠
東京からのアクセスは?
東京からのアクセスについては別記事にしています。
こちらから♫
出発は御池から!御池には休憩所と宿泊施設がある!
どこから登ろうか迷ったのですが、スタートは御池からにしました。
会津高原尾瀬口駅から尾瀬方面行きの会津バスは、「沼山峠行き」ではありますが、途中の「御池」にも停まります。みなさんどちらで降りるのだろう?と思っていたのですが、登山者は御池で、尾瀬ハイキングの方は沼山峠で降りるようでした。
御池にはトイレ、休憩所、売店がありました。
この時は早朝だったので売店はまだ営業していませんでした。
★山の駅 御池
【営業時間】8:30-17:00
【営業期間】4月下旬〜11月上旬
【定休日】営業期間中は無休
山の駅の隣には「御池ロッジ」があります。
登山口にあるので前泊する人向けの宿泊施設です。また、一般的な山小屋と比べると安価でお風呂もついています。こちらは山小屋ではなく、B&Bなので山小屋のように大部屋に宿泊するようなものではなく、個室タイプなので家族連れでも利用しやすそうです。
【営業期間】2022年:6月1日〜10月22日
【収容人数】60名
【部屋タイプ】《全19室》6畳:1〜2名/12畳:3〜4名/14畳:3〜6名
【料金】1泊軽朝食付き(夕食の提供なし)
大人5,800円(1名様1室)
5,300円(2名様1室)
4,800円(3名様以上1室)
4,500円(4名様以上1室)
小学生3,000円
幼児:無料/朝食300円
【チェックイン】15:00-21:00
【チェックアウト】9:00
【館内設備】展望風呂、乾燥室、売店
山の駅のすぐ隣には駐車場があり、燧ヶ岳の登山口はその奥にありました。
駐車場付近には尾瀬の広域図の看板がありました。
出発は御池登山口から!
駐車場を奥に進むと「御池登山口」がありました。
「鳩待峠」の登山口と比べるととてもこじんまりとしていました。同じ尾瀬でも場所によって、大きく違うんだなと感じました。
周囲が木に覆われ、歩きにくい岩の多い道を進んでしばらく行くと、やっと開けてきました。
しばらく進んでいくと尾瀬らしい雰囲気が出てきました。
正面に見えているのが燧ヶ岳です。すぐに登れそうに思えるのですが、ここから意外と遠かったです。そう感じたのは、残雪期で雪があったせいではあるのですが。
そして、道行く途中にはチングルマが咲いていました。
チングルマを見ると高い場所に来たなあと感じます。
あまりにもきれいだった広沢田代!
さらに進んでいくと「広沢田代」に辿り着きました。
そこまで大きな湿原というわkではなかったのですが、水鏡がとてもきれいでした。(ブログでは写真を加工していないので、あまりきれいには見えないかもしれません。加工後の写真はインスタに載せています。)
ここまで来るだけでも十分かなと思うほど、私は好きな場所でした。
水芭蕉の見頃が終わった6月下旬で、まだ残雪期ということもあり、登山道もここも貸切状態でした。
尾瀬という場所は本当に独特で、静寂と懐かしさと心落ち着く雰囲気がそこに漂い、いつ訪れてもすぐに行きたくなるとても不思議な場所です。湿原ってとても不思議な雰囲気がありますよね。
尾瀬というと木道です。木道があってこそ尾瀬ですよね。
頂上はすぐそこ!に見える「燧ヶ岳」です。
この画像から見ると楽に登れてしまいそうなのですが、そうでもなかったです。ここから見る山の雰囲気と実際の登山道のイメージが違うものだからなのかもしれません。登山道が場所によっていろいろな形状がある山なので、すんなりと登れないのも原因のひとつです。また、ぬかるみも多く、とても歩きにくい箇所もたくさんあります。
とてもきれいな熊沢田代!
さらに進んでいくと「熊沢田代」に到着します。
広沢田代に比べると水が溜まっている沼のような部分がとても広いです。時間帯や季節によってはとてもきれいなところだと思います。
写真奥には他の山々が見えます。
この日は6月下旬でしたが、写真からもわかるように周囲の山にもまだ雪が残っています。まだ残雪期だということがわかりますよね。
ここから先にはこれといったスポットはありません。
頂上までひたすら登っていくことになります。
6月下旬は残雪期!予想以上に雪がある!
熊沢田代を出発して少し歩いた辺りから、雪が出てきました。
想像していた残雪よりも雪が多く、雪が出てきた時点でチェーンスパイクを履けばよかったと後悔するほど歩きにくいものでした。
最初に雪が出てきたのがここでした。
ここは登っていくのではなく、横切るように進んでいく場所だったので、そこまで歩くのに苦労はしませんでした。
ここからが難関でした。
ここはそもそもが急登なので雪がなくても登るのに苦労するような場所でした。それに輪をかけて雪があるので、とにかく歩きにくいのです。真冬のようにガチガチに凍っているわけではないのですが、チェーンスパイクなしで歩くとストックを使っていても滑りました。
ここで下山してきた登山者とすれ違いましたが、とても歩きにくそうでした。雪に慣れている人のようでストックは使っていませんでしたが、私ならストックを使ったとしてもここの下山は厳しかったように思います。残雪期の雪は本当に歩きにくいんです。
また、この辺りでは雪にも山にも慣れていない登山の初心者が、ストックやチェーンスパイク、軽アイゼンなどを持参せずに登っている人が何人もいて、とても危険だと感じました。今の時期に雪があることも知らなかったように見えました。
写真に撮る余裕はなかったのですが、ここから先はさらに危険な残雪が多かったです。人が歩く場所がガチガチに凍っていて、ストックを使ってもとても怖く、人とすれ違うことすらも非常にこわく感じました。最初の時点でチェーンスパイクを履かなかったことを後悔しました。
ここですれ違った登山者も初心者の人たちで、ストックもチェーンスパイクも持参していないようでした。そういう方は6月中の登山は控えた方がいいいです。本当に本当に危険です。
頂上はふたつある!まずは俎嵓(まないたぐら)!
雪道をなんとかクリアして進んでいくと、ひとつ目の頂上に辿り着きました。
燧ヶ岳には頂上がふたつあります。そのひとつが俎嵓(まないたぐら)です。
俎嵓は標高2,346mで柴安嵓よりも10m低いです。
この時はたまたまだったのか、いつもそうなのかは分かりませんが、俎嵓山頂はとても風が強く立っていることも難しい状況でした。この日の燧ヶ岳登山で一番風が強かったのはこの山頂でした。
文字が消えていてなんて書いているのかは分かりませんでしたが、俎嵓山頂にあった標識です。
写真の奥に見えているのが、もうひとつの頂上の柴安嵓です。
残雪期に行ってはいけない!柴安嵓山頂!滑落する人多数!
燧ヶ岳の山頂はふたつあり、俎嵓から柴安嵓への道は、一度下山してから急登を登る!という山道でした。
雪道と新調した登山靴で疲れ果てていたので、それだけでもとてもしんどい山道でした。
しかし!本当に問題なのはそんなことではありませんでした。
これが俎嵓から柴安嵓を眺めた写真です。
山頂のすぐ下に雪の塊がある場所がわかるでしょうか。そこが今回の登山で、そして今までの登山人生の中で最も危険な経験をした場所になります。
その付近の写真はありませんので、危険箇所の写真はこれ一枚しかありません。
何が危険だったかというと、山頂直下の雪の部分は、急登で捕まるような場所もありませんでした。残雪期で雪が溶けている部分と凍っている部分があり、雪がなくても怖いと感じる旧な傾斜でした。
まず、登りに一歩踏み出そうとしても、滑りそうで前に進めないのです。遮るものが何もない急な傾斜になっているので滑落したら岩に打ちつける、もしくはどこまでも滑り落ちてしまうような場所でした。それに更に雪が加わります。
私以外の多くの登山者もみなさん、ここはどうやって進むの?どうしよう手間取っている状況でした。前に進むと滑り落ちてしまいそうな感覚があり、怖くて前に進めないのです。そして、下山してくる人々も皆、どうやって降りればいいのかわからないという状況でした。チェーンスパイクなどを履いていても滑るので、みなさんとにかく怖がっていました。そして下山してきた人たちは皆さん、お尻で滑り降りていくような状況でした。それは立ったまま下山できるような状況ではなかったからです。
そんな状況の中、勇気を振り絞りなんとか前に進み通過しました。
尾瀬ヶ原や至仏山が見える山頂!
その後も急斜面を登り、なんとか柴安嵓山頂に到着しました。
さっきの急斜面の場所にはたくさん人がいたのに、山頂では数人の登山者しかいませんでした。
山頂は思いの外広く、休憩する場所もたくさんありました。
俎嵓のような岩場でゴツゴツした山頂ではなく、開けていて平坦な山頂でした。
目の前には尾瀬ヶ原と至仏山がはっきりと見えました。
昨年は至仏山から燧ヶ岳をみましたが、今年は燧ヶ岳から至仏山を見ることができました。前回は秋に訪れたので、季節によって見え方がとても違うなと感じました。どちらもきれいですが、個人的には黄金色の尾瀬の方が好きです。
その時の至仏山についてはこちらから♫
見る方角を変えてみると尾瀬沼も見えました。
尾瀬はどこをとっても景色がとてもきれいです。
山頂直下で滑落!残雪期の登頂はやめた方がいい!想像以上に危険が伴う!
少し休んでから、さっき登ってきた道を俎嵓に向かって引き返しました。
登りの時にも書いた山頂直下の急な斜面まで戻ってきました。(写真右上の雪の部分)
登りですらとても怖かった雪の部分ですが…登りですら怖いので下山はそれどころの話ではありません!雪で凍っていて更に急な斜面なので、どうやって降りればいいのか全く分かりませんでした。
でも、今回は事前にチェーンスパイクを履いたので、おそらく大丈夫だろうと信じていました。
しかし、現実はそんなに甘いものではありませんでした。先に降りた同行者はお尻で滑るようにしておりたのですが、想像以上に滑り滑落しないように踏ん張るので精一杯のようでした。そして私です。同じようにお尻をついて降りたところ、想像以上にスピードが出てしまい、自分で止めることは不可能でした。もうダメだと思ったところで、先におりていた同行者が力づくで滑り落ちる私を止めてくれました。
距離にして10mぐらいだったと思います。
私の滑り落ちた先は岩と崖だったので、あのまま止めてもらえずに滑っていたのなら滑落死をしたと思います。今まで約7年登山をしてきた中で最も危険な出来事で、初めての滑落の経験でした。
「登山は頂上がすぐそこに見えてみても、無理だと思ったら先に進んではいけない。」と言われていますが、本当にその通りだと思いました。登りの時点で無理だと感じていたので、あの時に断念しておけば良かったと思いました。
山の形状的に柴安嵓の山頂直下の傾斜は、雪でなくても雨でもとても危険な場所だと思います。無理だと思ったら、俎嵓で引き返すことをお勧めします。本当に本当にとても危険です。
下山は沼山峠へ!尾瀬沼までの山道は至って普通!
この日は本当にいろいろなことがあったので下山のルートはギリギリまで悩みました。
本当に疲れていたので距離の短い御池に下りたかったのですが、またあの雪渓のところを通ると思うとそれも怖かったので、距離の遠い沼山峠に下りることにしました。
俎嵓から尾瀬沼に下りる長英新道は至って普通の登山道でした。
ところどころ、ぬかるんでいる部分や雪が残っていましたが、御池から俎嵓への山道と比べると大したことはなかったです。ただ、想像以上に距離があり、下っても下っても尾瀬沼に辿り着きませんでした。
尾瀬沼に近づいてくると、至仏山から鳩待峠に下りる山道にとても似ていて、歩きやすかったです。
本当にきれいだった大江湿原!
俎嵓から約1時間で尾瀬沼付近に到着しました。(通常のコースタイムより遅いです)
写真右が尾瀬沼です。写真では分かりにくいですが、小さな白いものはワタスゲです。
この日は6月下旬で水場所の見頃は終わっていましたが、まだ所々で咲いているものもありました。写真では葉っぱしか見えていません。
尾瀬は晴れることが少ないと言われていますが、晴れていなくても景色がとてもきれいです。
この時期はワタスゲの季節でしたが、そのすぐ後にはニッコウキスゲのシーズンだったようです。
尾瀬といえば木道です。なんでもない風景なのですが、尾瀬らしくて私は好きです。
その季節季節で咲いている花が違うのも魅力的です。
ワタスゲが満開の季節でした。写真に撮るのはむずかしいです。
尾瀬の看板は鳩待峠にもありますが、大江湿原にもありました。
ラストでさらに登りがある!決して楽ではない沼山峠までの道!
大江湿原を過ぎるとバス停のある沼山峠まで向かいます。
ここまで来たらあと少し!と思ったのも束の間で…ここから先はしばらく登りが続きました。
最後の最後に登りがあると思っていなかったので、この木道の登りが本当にしんどかったです。
俎嵓から沼山峠は想像以上に遠く、距離があります。地図で見てもたしかに距離があるのですが、想像よりも遠かったです。
ここでひとつ注意です!沼山峠には売店はありません。バス停と休憩所だけです。(2022年6月末時点)お土産などを購入したい場合は御池の山の駅に立ち寄ることをおすすめします。「沼山峠〜御池」間はシャトルバスが出ています。
まとめ
全体的に燧ヶ岳は中級レベル以上の山でした。至仏山と比べても燧ヶ岳の方が難易度が高い山に感じました。
また、御池〜燧ヶ岳〜沼山峠のコースは想像よりも距離が長く、歩いても歩いてもなかなか辿り着きませんでした、最短距離で登りたいなら御池ピストンがおすすめです。ただし、尾瀬らしい場所を楽しみたいのであれば、沼山峠へ向かい「大江湿原」を通過することをおすすめします。
そして、何度も書きましたが、残雪期の燧ヶ岳登山はおすすめしません!山頂直下の急な傾斜が滑落しやすく、とても危険です。6月下旬でも雪がたくさん残っているので、不安な場合は7月中旬以降に登るのがいいかもしれません。
総合的に燧ヶ岳は盛り沢山でいろいろな経験ができる山です。景色は場所によって変わるので、登っていて飽きることもないし、湿原や季節の花などたくさんの楽しみ方があります。わたしのように日帰りでも行くことは可能ですが、ロッジなどに泊まり、登山とハイキングなどどちらも楽しむのもおすすめです。
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